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縄文ニワトリ コラム vol.6



*暴走人  *jomon_niwatori



暴走族というものがいる。

しかし時々、群れではなく、一人で暴走している人がいる。

その人のことを、僕は暴走人と呼ぶ。



僕はバイクには乗らないが、テケテケと、暴走人になることがある。

どこに行くんだ〜〜!!やめてくれ〜!!と思いながら、足を止めることができない。

僕の意志に逆らってばかりの、感情の指揮者が僕を操るんだ。



僕はとても不器用だ。



損してばかり。



でも、そんな僕だからこそ、生きていることが愛おしく思えるのかもしれない。

器用にブロックを積み重ねるだけの毎日じゃ、つまらないもの。




縄文ニワトリ コラム vol.7



*チキン野郎  *jomon_niwatori



僕は、ニワトリ。         
その名の通り、相当なチキン野郎(臆病者)だ。

例えば...街に何か新しい建物が建つ時...

前からあった馴染み深いものを壊してから、新しいものを建てたりするでしょう?

新しいものが建ってしまえば、

前の建物なんて、あっという間にみんなの記憶から消えてゆく。

その感じが僕は苦手なんだ。あんなに当たり前に親しんでいたのに。



僕、壊す両手に、力が入らないよ。

大好きだった全てを、できる限り忘れたくないんだ。

欲張りなのかなぁ??



新しいものは、古いものより、そりゃぁ立派かもしれないんだけど。。。



僕はニワトリ。

その名の通り、相当なチキン野郎(臆病者)だ。




縄文ニワトリ コラム vol.8



*嘘卵  *jomon_niwatori



大事なものを守る為に、僕は嘘をつくことがある。

誰にもばれないように、こっそりと嘘を卵に詰め込み、喉の奥深く深くに隠す。

当然僕は苦しい。



苦しいから、僕の部屋の隅っこに卵を転がしておいた。

でもさっき部屋のドアを開けたら、卵が増えてた。

僕は怖くなってすぐにドアを閉めた。

嘘をつくと、嘘を守る為にまた嘘をついて、そのまた嘘を守る為に嘘をついて...

そう、限り無く嘘が生まれ続ける。



今、僕の部屋は嘘卵だらけになってしまい歩く場所もない。
いっそ全部踏み潰して、壊してしまおうか...?

フフン、でも僕はチキン野郎。

そんな勇気は持ち合わせていないのさ...



たとえ僕が大嘘つきになったとしても、

大事なものには、そばにいて、味方になっていてもらいたいの。



僕はつま先立ちで僕の部屋を歩く。

1つも嘘卵を割らないように、そっと、そっと。




縄文ニワトリ コラム vol.9



*幸せ卵  *jomon_niwatori



僕がまだ子供の頃のお話...


「ヒヨコちゃん、幸せ卵を壊しては駄目よ。」

厳しい顔をした母さんが、突然僕にそう言った。

「ママ、僕は何も壊してなんかいないよ?」

ちょっと泣きべそになりながら僕は答えた。

僕はママが大切にしている何かを壊してしまったのかと思ったんだ。



「坊や、よく聞いてちょうだい。

人はみんな胸の中に[幸せ卵]を持っているの。

優しい心で温めれば、その卵から幸せが生まれてくるのよ。

でも幸せ卵はとても繊細で壊れやすいから...

憎しみや妬みが卵に絡み付けば、すぐにひび割れてしまうの。

今日の坊やは不平不満と愚痴ばかり。
ニワトリはどうして飛べないんだ!とか、
ニワトリは食べられる為に生まれてきたんじゃない!とか...
飛べないからこそ、他の鳥が見られない物が見えるわ。
あなたばかりが食べられるんじゃないでしょう?

あなたも今朝、命あるものを食べたじゃない...



坊や、ママはあなたに幸せになって欲しいの。
あなたの胸にある[幸せ卵]を壊さないでちょうだい。
どうか、憎しみの力で、その可愛い卵を潰さないでちょうだい。


そう言ってママは泣き出してしまった。
僕は、僕がママの[幸せ卵]を壊してしまったんだと思い、
一緒になってワンワン泣いた。



大人になって僕はママに聞いた。

「ママの胸に、今も幸せ卵ある?」

ママは静かにうなずいた。

...だけどママは[幸せ卵]を上手に育てられないんだそうだ。

あと少しで生まれてくる!っていう時に、いつもひび割れて壊れてしまうんだそうだ。

ママの幸せ卵...

ママはその卵の中に、何を抱えているのだろう?

今度こそ無事に孵って欲しいと、ママの幸せを見てみたいと、僕は心から思う。




縄文ニワトリ コラム vol.10



*虹色眼鏡  *jomon_niwatori



僕は目がいい。
でも3つ眼鏡を持っている。


1つ目は、大きな黒淵の眼鏡。

アラレちゃんのような眼鏡。

かけると嬉しくなって、灰色のものも、ザーザー雨色のものも、

全てが虹色に見えてくる眼鏡。



2つ目は、小さな黒淵の眼鏡。

これをかければ、がぜん頭の回転が早くなる。

彼女と会う時にかけると、結構気のきくダンディーな男になれるんだ。

彼女が何を求めているのか、いつだってお見通しなの。



3つ目は、細くて折れそうな赤い淵の眼鏡。
これは、僕というニワトリを隠す為の眼鏡。
僕が何者なのかなんて、そう簡単に解られてたまるものか。
僕の目の奥を見ないでおいて。


...今日の僕は、1つ目の「虹色眼鏡」をかけているよ。

とっても悲しかったから、とってもHAPPYな気持ちになりたかったんだ。
今夜、HAPPYを見飽きたら、3つ目の「僕を隠す眼鏡」をかけて出かけよう...
そして僕の心がもう少し静まったら、さっそく「頭が良くなる眼鏡」をかけて、
素晴らしく気のきいたタイミングの「ゴメンネ」を彼女に言いに行こうかな?


この3つの眼鏡さえあれば、僕は賢く生きてゆけるはずなのになぁ...
なぜいつも「かけ変えるタイミング」を逃してしまうんだろう?
...もう!僕って本当に不器用なんだからっ!!




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